私の頬を流れる涙に、そっと優しく触れた彼方の左手に、私は甘えて言うの。


「聞かせてよ、カナタ

 お願いだよ」

「ああ

 おまえにだけなら弾いてやれる

 その代わり、笑わないこと」


 そう言って彼方は、私の頬を優しく抓る。


「笑わないよ、笑うわけない

 どんな音色だって最高だよ」


 彼方を見上げ、微笑む唇

 見つめ合う二人


 赤い彼方の目、私の目もきっと同じ色。


 さっきまでとは違い、微かに揺れるカーテン。


 時が止まりそう----


「そんなに好きだったの?」

「好きよ」


 好きで好きで溜まらない


 彼方のギターが、ギターを弾く手が、指が、その全てが好き

 大好き


 時を止めて----


 揺れないカーテン、止んだ風。


 私の想い、今、彼方に伝えよう。


「カナタ……」


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