御手洗から戻った私は、みんなとの会話には入らずに話を聞いている風を装って時を過ごした。

 本当は今にも泣いてしまいそうな気持ちを、泣かない方向へと向けるのにやっとで人の話を聞ける状態ではなかった。

 明日は何をしよう、そうだな、明日は……。

『ユウが誰と付き合おうが俺は関係ない!』----ダメダメ!また引き戻される、また悲しくなる。

 その言葉をかき消すのは容易じゃない。

 その言葉は、私にとっては絶望的----諦めはついた。


「ユウちゃん、飲んでる?

 お代わり、どう、頼む?」

「はい、お願いします」


 これはもう、お酒しかないでしょう。


 忘れさせて----


 左右きちんと揃えられたサンダルの隣に置かれた、片方だけの靴。


『ユウさん』


 わたしは、故意に引かれた線の上をこれから歩くことになる。

 
 わたしは……