ディモルフォセカの涙


 俺の目をジーッと見つめる彼女の瞳、その真っすぐな視線から俺は目を逸らす。


「そっかぁ、カナタさんは私の好きな
 ハルコ先生に似てるんだ

 だから、私…」


 俺は、亡き母に似ている。


「違う!」


 俺の母は、絹子さんだけでいい。


「違わないよ、そっくりだよ

 ねえ、血の繋がっていない
 ユウさんは貴方の家族で
 貴方の一番大切な人

 だったら、多分
 血が繋がっているだろう私は
 貴方にとっては何?

 血が繋がっているのに
 家族にはなれなくて
 
 貴方の大切な人には、なれないの?」

「さあな、まだよくわからない

 悪いが頭が割れそうだ

 俺は眠る、おまえは帰れ」


 布団を被り、ベッドに横たわる俺に彼女の寂しさは伝わらない。

 君が何をそんなにも思い詰めているのか、俺はわからず眠りについた。

 自分以外の誰かがこの部屋に居るのに、無防備にあっさりと眠りについてしまったのは、ユウ以外は初めてだ。

 昨夜、なかなか寝付けなかったせい、それだけだろうか?