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御手洗を済ませた後、鏡を見るとやっぱりお酒のせいで頬が真っ赤で、これはいただけない!
私は、出掛ける際に小さなポシェットに無理やり押し込んだハンカチを取り出して、布の端を蛇口から流れる水にほんの少し浸した。布にじわーっと広がる水、私はそれを軽く絞る。
お化粧がよれたり取れたりすることよりも、この赤く火照った頬が嫌だった私はそのハンカチをそっと自分の頬に当てた。冷たくて気持ちいい。
調子に乗って今夜は飲みすぎた、もうやめておこう。----そう、鏡に映る自分に言い聞かせて私は御手洗を出た。
----もう少しだけ、御手洗を遅く出ればよかった。
バカ、彼方……
『ユウが誰と付き合おうが俺は関係ない!』
わざわざ口に出して言わないでよ。
知ってるよ、そんなこと
ああ、胸がズキズキする
やるせなく----痛い。
ユウ……もう、潮時だよ。
ピピピーと、私の頭の中で試合終了の合図がなる。
----この時、私は彼方への想いを捨てた!
ずっとずっと、彼方だけが好きだった。
『息子のカナタ君よ……』
あの日、初めて伯母である絹子さんから彼方を紹介されて、男の子なのに女の子みたいで。
わたし、男の子は苦手
だけど、彼方は好きで、好きで……