僕の元を離れ、そんなユウの傍に駆け寄る彼女は美子さん、義叔母である。美子さんの足元には、ユウの小さな草履。


カランカラン、カラン……


 美子さんの女物の下駄を履いて、親戚の後、一番最後を一人歩く僕の足音。その音に紛れ、聞こえる僕を呼ぶ優しい声。


「カナタ、早くいらっしゃい」


 僕を手招く義母に義父、そして皆---


「お義母さん、今行きます」


 里子の僕を優しく受け入れて家族の一員にしてくれた皆のためにも、僕はアイシタイ想いを閉じ込める。


「「カナタ」」


 僕の名を呼ぶ、幼い君と今の君----

 君をアイシタイ想いを隠して、俺は生きる。


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「ユウが誰と付き合おうが俺は関係ない!」


 この先、ユウが誰を愛しても、俺の想いは変わらない自信あるから。