ディモルフォセカの涙

「そう、一杯飲んで行きなよ」

「ああ、カナタ何飲む?」


 カナタ……


「カナタさん!?」


 慌てて体を起こした私の背に、あのカナタさんが立っていた。


「何、カナタの知り合い?」


 そう問われたカナタさんは、ものすごく面倒くさそうな顔をする。


「酔っ払い、知らない」

「うそ、知ってるじゃないですか

 私、カナタさんの隣人です!」

「嘘をつくな、最寄り駅が同じだけだ」

「まあまあ、どっちでもいいよ

 顔見知りなんだろう」

「はい、そうです!」


 私の返答に、カナタさんはもう何も言わず黙って、私の隣の隣の席に座った。
 
 こんな偶然ってある。----カナタさんに会いたいって強く想ったから、神様が引き合わせてくれたの?

 
「君も、何か飲む?」

「私、ミカです、私は……」

「ダメダメ、それ以上飲ませちゃ
 帰れなくなるよ」

「そう

 カナタが居るじゃん、送ってやれば」

「それは御免だ」

「そうなの?ごめんね、ミカちゃん
 ツレナイ奴で」

「いえっ、私ももう帰ろうと思っていた
 ところなので……」


 カナタさんに会えたばかりなのに、私はもう帰らなきゃいけないの?

 もう少しだけ、一緒に居たい……