ディモルフォセカの涙

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 教室の前に到着すると、何故か今日は警備員さんの数がいつもよりも数倍多いように思える。

「何かあるのかな?」----私の言葉に、実花さんは何も言わずにエレベーターに乗った。

 教室内にも、警備員さんの姿----いったい何だろう?クリスマスだから見回りを増やしているのだろうか?

 疑問視する中、『オステオスペルマム音楽教室』の生徒達によるクリスマス会は始まる。

 生徒の皆が今まで実花さんに習って来た曲、その一曲一曲を聞いている私には、自分のスマホの着信音などまったく聞こえるわけもなく、私はこれから起こることを何も知らずにいた。

 仕切り無しに教室に鳴り響く音、その音が止んだ時、実花さんのスマホに太田さんからの着信が入る。実花さんは仕方なく、電話に出た。


「もしもし、王」

「ミカ、おまえ

 何、考えてる!

 今すぐ教室から彼女を出せ」

「もう、無理よ
 
 皆、来るわ
 
 じゃあね」


『皆が来る』----他に誰か来るの?

 実花さんの生徒さん達は、ここに居る子達だけのはずじゃ……


「ミカ、誰か来るの?」


 その時だった!勢いよく叩くドアの音、開かれる扉を見つめるとそこには溢れるばかりの人の姿が在った。

 次から次へと教室に人が雪崩れ込んできては警備員に阻まれ、その場に立ち止まる人々は皆、私の名を呼ぶ。