ディモルフォセカの涙

「ユウ、来てたの

 何食べたい?」

「何でもいいよ
 
 ミカの食べたいもので」

「じゃあ、イタリアンでどう?
 混んでないといいけど」

「ふふっ」

「何?」

「いつも混んでるかもって話
 してるな~と思って」

「そうだっけ?」


 私達は寄り添い腕を組んで、駅の構内へと入って行く。そして、何とかイタリアンにありつけ、お腹を満たした私達は少し歩きながら、クリスマスのイルミネーションを見つめている。


「きれい」

「ほんと、綺麗だね

 何?何かついてる」


 黙ったまま、瞬きをすることもなく私のことを見つめる熱い視線。

 見つめられながら、私は小動物のように視線を逸らすことも動くこともできない。

 あなたの唇が、わたしの唇にそっと優しく触れた。

 離れる唇……


「ケチャップ、ついてた」

「ああ、さっきの……

 取れた?」

「ううん
 
 まだ、ついてる」


 私の頬に翳したその手はとても冷たく、ヒヤッとした私。

 そんな私を見つめ、口元を緩めてみせる実花さん。

 そしてもう一度、触れた唇----わたしは幸せを知る。