ディモルフォセカの涙

 帰宅した実花さんにその事を告げると、実花さんは全く気にしていない様子だった。

 それに実花さんからも私に話があるようで、その内容は、音楽教室の生徒さん達から「クリスマス会を是非、教室で開きたい、開かせてほしい」と頼まれ、そういう事ならばと自分達だけのセッションを交えた会を催すことになったらしく。


「こっちもごめんね
 
 かわいい生徒にお願いされちゃ
 断るに断れなくて

 皆の成長を見るいい機会だし」

「そうだね、楽しみだね」

「本当は、ユウにも参加して
 欲しかったんだけどね

 ほらっ、マナちゃんも
 ユウに会いたがってたし」

「クリスマス会は、何時から?」


 事務所の忘年会は18時始まりなので、私は先に実花さんの教室に顔を出してからそちらへ向かうことを決めた。

 実花さんは少し暗い表情で、とても申し訳なさそうにしていた。


「悪いのはわたしだって同じだよ
 
 気にしないで、ミカ」

「ごめんなさい

 ユウさん

 あなたは悪くないのに

 悪いのは私だ」

「何言ってるの、この話はお終い

 帰ったら二人で乾杯しようね」

「……のイブは、一緒に過ごそう」

「うん」


 それからの日々は、実花さんは一人考え事をすることも増え、黙り込んでは何か思い悩んでいる様子だった。