私に分かること----

 それは、彼方が私達の元に来る、ずっとずっと以前から彼方のギターケースにぶら下がっていた白ウサギと黒ウサギが半分半分の人形。

 幼い彼方に託されたギター。

 いったい誰が彼方に託したのだろう?

 血は争えない……血は。


 帰宅後----実花さんはその事には一切触れずに、ベッドで休んでいる。

 実花さんの隣の、空いてるスペースに横たわる私に聞こえる声。


「ユウ、抱きしめて眠ってくれる?」

「うん、いいよ」


 今度は私が、実花さんの体を後ろから優しく抱きしめて眠る。私の腕の中で実花さんは安心して眠りについた。

 何をそんなに怯えているの?

 嫌なことのその全てから、あなたを守ってあげたい。


「ミカ、大好きだよ」


 私の世界は変わる----

 いつかの牛乳、白が黒に、珈琲に飲まれてゆくように、最初と今では立場は変わる。

 駆けるウサギを、追いかけるのは私。

 置いてけぼりを食らうのは、わたし。