ディモルフォセカの涙

「いえいえ

 今年もお父上様は不在で残念でした」

「何、もしかしてまだ狙ってるの?」


 何でも、学友は実花さんのお父様のファンであるらしく、実物に会える日を楽しみにしているようで……。実花さんも困っている様子。


「まあね、その後連絡の方は?」

「ないない

 一生帰って来ないんじゃないかな」

「そうか、なら仕方ない!

 じゃあ、オウさんで手を打ちますよ

 今夜、誘えばよかったな~
 彼って相変わらず紳士的よね

 男性はやっぱりああじゃないと
 スーツ姿が何とも凛々しくていいわ」

「スーツ姿なんて誰でも同じ

 誰でもいいんでしょう」

「いえいえ、血は争えませんわ」

「アンタちょっと飲みすぎだよ!」

「あっ、ごめんごめん」


『血は争えない』とは、いったいどういうことだろう?

----そのまま話は変わってしまい、私はその事をそれ以上追及することはなかった。

その後、彼女は彼氏に呼び出され、早々にこの場を去って行った。


「私もそろそろ帰ります」

「次の授業は年明けだから
 また手伝ってほしい日は連絡するね

 ありがとう」


 そして、私達はこの場所に二人きりになった。