「それでは、ユイさん
 そろそろ園児が来る頃ね」

「似てるとは思ったけど
 まさか、あのシンガーソングライター
 の……」


 私がコクンと頷いてみせると、太田さんはとても驚いている。


「オウとユウって似てる」

「何言ってる!」

「さあ、無駄話はここまでにして
 園児が来たらまずは作曲ね

 今年はどんな曲ができるかなぁ、楽しみ」


 作曲……?


「先生、ミカ先生」

「あっ、マナちゃん、来てくれたの
 
 なんだ、みんなも……」

「今日は私達、撮影隊です!」

「ありがとう、助かる

 教室の紹介誌に乗せたいの

 いい写真頼むわね」


 生徒さん達の登場に、この場を離れる実花さん。

 その後をついて行こうとした私の手を取るのは、太田さん。太田さんは鞄から名刺を取り出してこの私に差し出した。


「いつでも相談してくれていい
 いつでも聞いてやるから

 アイツの我儘に振り回されることはない
 
 そう例えば
 二人の事を公にしてほしいなどと
 無茶を言われても従わないように」

「はい、大丈夫です」

「くれぐれも気をつけて」


 太田さんが言うような、私が困るようなことを実花さんが言う訳がない。

『信じない方がいいよ、彼、私のこと大嫌いだから』----彼を信じない方がいい?