ディモルフォセカの涙


「ユウさんのことを演出できるだなんて
 私ならもっとうまくできるよ、絶対!
 ほんと、自信ある

 あんなドレスじゃなくて、そうだなぁ
 もっとシックな感じの、もっともっと……」

「ふふっ」

「何?」

「ううん、なんでもない

 ミカに任せれば間違いないね」

「でしょう、絶対だよ」


 実花さんが私に対してライバル視することなんて絶対にないのに、私は何を考えすぎているのだろう。

 こんなにも私のことを想ってくれる実花さんと出会えて本当に良かった。


『絶対』----言っちゃダメでしょう?

絶対なんて、無い!


 明日のワークショップの準備を無事に終えた私達は教室の扉を閉めて、エレベーターを降りて、手を繋ぎ建物の外へと踏み出す。


「夕方なのに、空、夕日じゃないね」

「うん、真っ暗だね」

「ユウと夕日、見たかったな、残念」


 真っ暗な空を見上げている私達には、見えないものがある。

 立ち止まり、振り返る人の姿----この目には映らない、あなたの存在。


「今夜の晩御飯、何にする?
 外食ばっかり飽きたよね

 ユウ、何が食べたい?」

「うん、そうだなぁ
 辛いものが食べたいかも」

「じゃあ、寒いし
 キムチ鍋なんてどう?」