ディモルフォセカの涙

 ワークショップ開催日まであと一日----

 園児に送るプレゼントの入った段ボールを、私は教室の隅に置いた。

 苦戦中の教室の飾りつけも、何ともいい感じ。


「少し早いけどクリスマスって
 感じ出てるね」

「うんうん、園児達喜ぶよ
 
 ユウのセンスってば抜群」

「そんなことないよ
 こういうの見慣れてるだけで
 
 ありがとう」


 実花さんが私のために淹れてくれた紅茶は、今日もフルーツティー。お味は、ピーチ味。


「やっぱり間近でプロの仕事
 見てると違うのかなぁ
 ステージとかスタジオで

 ほんと、すっごい素敵」

「そんなそんな
 わたしの飾りつけなんて
 ぜんぜんだよ
 
 わたしのこと素敵に演出してくれる
 スタッフにはいつも助かってる」

「そうなんだ、うらやましいなぁ
 
 ほんと、うらやましい……」


『うらやましい』----心からそう思っているだろう実花さんの言葉。実花さんもまた、私と同じく音楽家の道で成功を望んでいる一人。

 成功しつつある私の存在は、あなたにはどんな風に映っているのだろう?

 憎らしくはないのだろうか……