「ミカ

 あなたはわたしのこと好き?」

「うん、好きだよ、大好き

 愛してる」


 『愛してる』----その言葉があればいい。

 もう、どうなってもいい……あなたに、抱かれるならば。


「ゆっくり

 ゆっくりでいいよ
 ゆっくり進んでいこう

 私達にはまだまだ時間があるもの」

「うん、ごめんね」

「どうして、ユウが謝るの

 謝んなくてよろしい」

「はい!ふふっ」


 私を抱きしめながら、あなたが今何を考えているのか私には分からない。

 だけど、あなたは確かに私のことを求めていた、強く、その事だけは分かる。

 私の首筋に残る赤い花印に、嘘はない。

 
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 実花さんの愛があれば、もうそれだけでいい。


 彼方……あなたの存在を消して消して、消し過ぎて黒く淀んだノートの紙は最後には破れ、穴が開いてしまう。

 私は一番大切なそのページを、意図も簡単にあっさりと破り捨てることができるようになる。

 実花さんの愛は私を迷いから呼び醒まし……自分軸(自我)を見失った私は、彼女に囚われ生きる。

 要するに対象が、彼方から実花さんに代わっただけで私は何ひとつ変わらない。

『……もしかして、わたし、病んでる?』----そのことに、私は気づけるだろうか?