まだ見たことのない世界への入口で、私はほんの少し不安だ。

 初めての触れ合い(交わり)、それは誰もが通る道----

 強張る体、深呼吸をひとつすれば、私の緊張は途切れ、あなたを受け入れられる。私は抱かれる腕の中で、そっと息を吐き呼吸を整える。

 その行為が実花さんに伝わったのか、私の首筋に触れる唇、実花さんは私の耳元で囁いた。


「ユウ、あなたが悪い
 
 その目が……」

「ミカ、さん?」


 私から離れてベッドに座った実花さんは、私のことを気にしながら言う。


「ごめん、先走っちゃったね

 コワかったでしょう?」

「ううん……だい、じょうぶ」

「うわっ、ユウ、ごめんね
 
 ほんとにごめん

 私ったらバカで、自己中で……」


 私をその腕に抱きしめながら、私の頭をポンポンと優しく撫でてくれる実花さん。
 
 
 本当に大丈夫なのに、どうして涙が出るんだろう……?

 この歳になって純情ぶってるわけじゃない。私は、何も知らない無知な女の子なんかじゃない。

 愛する人と結ばれたい、愛する人とひとつになりたい、愛する人と……


「ごめんね」


 実花さん、私が聞きたい言葉は、それじゃない。