ディモルフォセカの涙

 今は、彼方とのことよりも実花さんとのことの方がもっと重大なことのように思うけれど、そこは同性同士、私達の仲を誰も疑ったりはしない。

 私が声に出して、二人の関係を言わない限りは……。

 バタンッ!社長室を出てドアを閉めた私、見つめる視線の先には、たくさんの人の働いてる姿が映る。私の歩む道、人生には、たくさんの人が関係している。

 それは全て、わたしのためだったりする……

 走り出したユウというアーティストの存在は、日に日に大きくなっていく。

 素の自分は影を潜め、アーティストのユウが私の中の大半を占める。

 私は、わたしに搾取されていく----わたしは、いったい誰?


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『……

 カナタくん、どうしたの?

 ……

 泣いているのは、カナタなの?』


 成人した彼方が、幼かったあの頃のようにポロポロと大粒の涙を溢し、泣いている。----それはとても悲しく、私のこの胸をキューッと締め付ける。

 痛みを伴うその胸の苦しさに、私は耐えきれず目覚めた。そして、「夢でよかった」とホッとするのだった。

 いつも以上に渇いたのどを潤す為に、ベッドから起き上がろうとした私の腕に触れる実花さんの手。