ディモルフォセカの涙

「基盤がしっかりとするまで暫くの間は
 彼との関係を危ぶまれないように
 会う機会はくれぐれも少なく……」

「ただの従兄なのに」


 ただの----恋だの愛だの、二人の間には何にもない。

 友達でもない、宙ぶらりんの関係なのに、会う事を制限しなきゃいけないだなんて、おかしい。


「理不尽なのはわかっているわ
 従兄だと説明すれば済むことだけれど
 この前も話したように、それもまた面倒なこと
 あなたはもちろん、彼にとっても」


 私は馬鹿じゃない。彼方が面倒に巻き込まれ、彼方を傷つけるようなこと、私は絶対にしない。

 それに、理由はそれだけじゃない。

 彼方のことを従兄だと思える日が来るまで、連絡しないと私は実花さんの前で決めた!


「ユウ、わかるわね」----頷く私に、ホッとした様子の社長。


「あなたの夢の実現、成功のために
 今は努力しましょう」


 話し終えて、社長室から出て行こうとした私に社長は思いだしたように言う。


「あっ、そうだわ
 いつかのお友達との件はどう?」

「一緒に暮らす話は無くなりました」

「そう、今はそれがいいわ」