この小さな湯船に向き合って二人同時に浸かると、溢れたお湯がザーッと勢いよく流れて行き----男だからとか、女だからとか、そんなことはもうちっぽけなこと。

 すべてが水と共に、流れゆく----

 私達は、一緒にお風呂に入り、一緒に食事を済ませ、一緒に眠りにつく……


「おやすみなさい」


 ベッドの下、すぐ横に敷かれた布団に横たわる私に、眠れないのか実花さんは言う。


「ユウさん

 これからも、こうして毎日を
 一緒に過ごしていこうね」

「ミカ、さん?」

「一緒に暮らせないのは
 ものすごく残念なことだけど
 
 わざわざユウさんの手を
 煩わせることないよ

 私が我慢すればいい

 だから、私のこと
 好きじゃなくてもいいから
 こうして傍に居てね」


『わざわざユウさんの手を煩わせることないよ』----『面倒なのは、ごめんだね』そう、あれは、わたしのためだったんだ。

『一緒に暮らせないことをとても残念に思っているのは、私だけ』----ううん、私だけではなかった、実花さんも私と同じ気持ち。


「ミカ

 わたしは、あなたのことが
 好きだよ

 だって、こうして一緒に居たいもの」

「ユウ

 私もあなたと一緒にいたい

 ねえ、こっちで眠らない?」

「うん、いいよ、一緒に眠ろう」

「大好きだよ、ユウ」