ディモルフォセカの涙


「ああ、トイレに忘れ物取りに
 行ったでしょう
 
 あの時に急いで買いに行ったの

 嘘ついて、ごめんね」

「ううん、わたし嬉しいよ」

「ユウの喜ぶ顔が見れてよかった

 ユウ、着てみせてよ」

「うん」


 私は、今度は上着だけでなくスカートも脱いで、実花さんからプレゼントされたワンピースを着てみた。実花さんの部屋の全身が映る鏡の前に立つ私。----鏡に映る自分の姿を見ていると私の後方に実花さんの姿が映る。


「やっぱり、すごく似合ってる」


 振り返るとそこに貴女は居て、私のことをそっと優しく抱きしめた。こんな風に女の子と抱きしめ合うのは、感極まった卒業式の時以来だ。

 華奢な腕に抱きしめられながら、私は何とも言えない心地良さを知った。

 甘い香り……母に抱かれるあの安心感にも似た、やわらかで、ぽかぽかと温かい。

 これはきっと、愛と呼べるものだろう。


「嫌なら言っていいよ」

「嫌じゃないよ」

「よかった

 お風呂できてるね
 そうだ、一緒に入ろうか?

 なんて嘘、じょう(だん)……」

「いいよ、一緒に入ろう」


 こうして女の子と一緒にお風呂に入るだなんて。----あれは、もう……いつの頃だったか忘れちゃった。

 そんなことは、もうどうでもいい!