雲の狭間から射す光

閑静な住宅街に何棟も立ち並ぶマンション

その外観は様々で、我こそが一番だと何ともせめぎ合っている様にも見える。


その中の一室----


朝の空に、流れる雲

ベランダにて洗濯物を干す手を止め、じーっと雲の様子を見つめる視線。

物干し竿に干したタオルの裾が突風に靡くとくるっと竿にかかる。

タオルを元に戻しパンパンと叩く左手、その薬指と中指には指輪が光る。

再度、吹きかける突風に乱れる髪を押さえると、脳裏に浮かぶ光景

風に靡く、長い髪----


『……恩はある

 だけど愛はない』


ふと、蘇る過去----


木霊する歌声

どこまでも響く音


どこまでも

どこまでも……