リヴァイは子供ができた途端に家に帰らなくなり、仕事ばかりだ。奥さんはいつも寂しげで、子供は乳母に任せきり。広い屋敷はいつも冷たい。

政略結婚でも、そんな家庭は作りたくないとエヴァンは強く思う。

まだ会ったことのない他国の女性。この結婚に、今はまだ恋や愛は存在しない。それでもいつか愛を持って相手と歩んでいけたらいい。

そんな想いを抱きながら、エヴァンは結婚式の日を待った。



結婚式の日、エヴァンは白いタキシードを着て結婚相手の待つ部屋へと向かっていた。

ドアをノックしようとした刹那、部屋の中に父親とリヴァイがいることに気づいた。

「あなたがお嫁に来てくださり、とても幸せです」

父親の声が聞こえた刹那、リヴァイも「エヴァンもあなたと結婚できてきっと幸せです」と言う声が聞こえてきた。

父親の言葉も、リヴァイの言葉も、全てが嘘だとエヴァンはわかっている。ただ利益のためだけに好きでもない相手と結ばれるのだ。