あざ笑うかのようにリヴァイは言う。エヴァンが仲良くできないのは、この性格だからだろう。

ホッシンズ家の跡取りとして教育を受けたリヴァイは、人を愛せなくなってしまった。仕事はできるが、恐ろしいほど冷酷だ。

「では、そろそろ」

エヴァンはぺこりとリヴァイに礼をし、父親のいるであろう書斎へと向かった。

エヴァンはフォルトゥナ王国の軍人だ。貴族の家では、家を継げない次男などは軍人になることが多い。

二十四歳という若さで中佐という階級にいる。とても有能で、部下や上司、同期からの信頼が厚いのだ。

「父上、お話とは何でしょうか?」

軍で上官の話を聞く時のように、エヴァンは手を後ろに回す。書斎の椅子に腰掛けている父親は、テーブルの上に一枚の写真を置いた。

「ラクリア王国の大佐の娘だ。この娘とお前が結婚することが決まった」

エヴァンは驚くこともなく写真を見つめる。名家に生まれたのならば、いつか政略結婚をすることは決まっているようなものだからだ。