覚えてるかと聞かれ、思い返してみる。サナは襲ったというけれどオレには全くもってそんな記憶はない。確かに、サナの手首が気になって、いささか強引に手首を見た気はするけれど、襲ったというのは心外だと思った。べろべろに酔っていたから衝動的に体が最短ルートでサナに向かって行っただけだと思う。下心がまるでなかったかは、自信がないのだけれど、ここは誤解をとくに越したことはないと思った。

「言っとくけどな、別にオレはサナを襲ったわけじゃないぞ」

「はー?人の上に跨って動けなくしたじゃない」

「それは・・・・・・手首が気になっただけだ」

「手首?」

サナは何言ってるのかわからないと首を傾げる。