サナは手早く作ったカレーを食卓にならべる。食卓といってもただのコタツなんだけれど。冬に活躍するはずのコタツをオレは食卓がないとのサナの一言で夏がまじかというこの時期に押し入れから引っ張りだす羽目になった。こうして改めて部屋を見回すと、前よりも生活感が出ている。

自分で作ったカレーを美味しそうに食べるサナ。時よりこちらの様子を覗く。美味しいかきなるのだろう。それを知りながらオレは黙々と食べる。

「美味しい?」

「ああ」

本当は甘いなんて言えないから、美味しいと答えることをしない。いつになるかはわからないけれど、いつかは本当のことを言うつもりだ。オレは甘い食べ物が苦手なんだと。まあ、今の所言うつもりはない。胃袋を捕まえられると離れにくくなるというから。