サナは言いたいことは言ってやったという顔をして、すっと立ち上がり、投げつけた袋をとり「ごめんなさい」といった。

「ああ」と力なくこたえる。

yさんは、仕事でデートしている事を知っている。知っているというより理解している。それでもデートの最中に仕事だからなんて言われたら、どんな気持ちになるだろう。言ったところで怒りはしないだろう。表面上は笑顔をみせて、心で泣いているかもしれない。

いや、一気に気持ちが冷めるかもしれない。現実を突き付けられると、どしても逃げたくなる。分かっているけど、受け入れる事は出来ない。そんな感情の上に俺たちは立っているのかもしれない。