最後の初恋

「優人、目がエッチになってるよ」
「どんな目だ!」
 鋭いな。林檎のもとの美奈ちゃんを思い浮かべていた。
 もう一度言っておく。おっぱいが目的ではない。
「でもさ、優人、今の優人の滑り、ちょっと危険なような気がするな」
「え、何が?」
「8㎜は冗談にしても、動きに迷いがありすぎるよ」
 確かにそれはある。しかし危険とまでは思わんが・・・
「何だかね、吹っ切れてないと言うか、中途半端と言うか・・・」
「どーせ、ヘタレって言いたいんだろ」
 何時もなら『そう! ヘタレ!』と笑って終わるところであるが、今日の彩菜は違った。
 ほんとに何かを心配している様なそんな不思議な顔をしていたんだ。
 何時もアホみたいに明るい彩菜がだ。

 *****

 俺の考え過ぎだったようだ。
 さっきまで彩菜の様子が少し変だと思ったのは、俺の考え過ぎであった。
 何か心配ごとでもあるのかと、少し心配していたくらいだが、そんなことは全くの無用無意味であった。
 豚まん二個をあっさりたいらげた後、晩飯の準備ができ今カレーを貪っている彩菜の姿は幸せ全開である。
 何時ものアホな彩菜の笑顔いっぱいで「おばちゃんカレーお代わり! う~ん、おばちゃんのカレー何時食べても最高!」
 というありさまである。
 これだけ食欲もあれば悩みもないであろう。
 ん? 俺とした事がなんで彩菜ごときに心配なんぞしなくてはならない。
 そうだ。そもそも今日も彩菜のおかげでヘタレ扱いだ。
 アホらしい。
「あ、おばちゃん。優人ね、美奈ちゃんが好きなんだって!」
 ど、ど阿呆! 何をいきなり言い出すんだ!
「あら、美奈ちゃんって、佐藤さん家の娘さんよね?」
「そう。中学3年の時、私達が同じクラスだった娘だよ」