「あ、久我さんたちあそこにいた」

「え?」



馳くんが指差す方を見ると、私たちがいるところより少し前の列に久我さんの姿が見えた。

蒸し暑さの中、きっちりとスーツを着た彼。

その隣には今日も小宮山さんがおり、ふたりの姿に胸がまたきゅっと締め付けられる。



「あのふたり、やっぱり似合ってるな。実は付き合ってたりして」



馳くんが、そう言いたくなるのもわかる。

美しい天の川の中、並んで立つふたりは背丈も近くバランスがいい。よくお似合いだ。



ふと小宮山さんが久我さんに顔を近づけてなにかを耳打ちをする。

それに対してこちらから見えた彼の横顔は、優しい微笑みを浮かべていた。

いとおしむように目を細めた笑顔。あんな表情、見たことない。



……やっぱり、彼女は特別なんだ。

所詮私は彼女の代わり。ううん、代わりにすらなれないのかもしれない。



好き。久我さんのことが、大好き。

厳しいところも、怒ると怖い顔も、不器用な優しさも。

全部全部大好きで、その想いは絶対に小宮山さんよりも強い自信があって。



だからこそ、もうやめるべきなのかもしれない。

隠していたことを全て吐き出して、こんなどうしようもない恋を終わらせるべきだ。



そう、自分の中で答えが出てしまった。