その日から私は、気まずさから久我さんと顔を合わせることができなかった。

幸い営業が立て込んでいて外出が続き、オフィスにいることも少なかったこともあって話す機会がなかったこともありがたかった。



そんなふうに週末までをすごし、迎えた日曜日。

日の暮れた頃、私は馳くんや他の部署の人たち数名とともに銀座に集まっていた。



四丁目近くの通りは、イベントのために交通規制がかけられており、車の走っていない街はたくさんの人々で埋まっている。



「すごい人だね」

「あぁ。今日のイベント、人気のモデルや俳優も出るらしいからな」



さすが、世界的ジュエリーブランド。イベントの規模も大きい。

そのファンやメディアが駆けつけているのだろうこのイベントの注目度の高さにこちらまで緊張してきてしまう。



ここ数日気まずくて久我さんと顔を合わせられなかったけど、でもやっぱりイベントは楽しみでこうして足を運んでしまった。

久我さんはどこかでチームの人たちと見ているのかな。

会いたいけど会いたくなくて、気持ちは曖昧だ。



すると、ちょうど時計台の針が19時を指した頃。一斉に辺りの照明が落とされ、街は真っ暗となった。



突然のことに周囲がざわめきだした瞬間、真っ暗な街が少しずつ青色に変わっていく。

それは街のビルや通りを丸々使ったプロジェクションマッピングで、見慣れた街に青色と白色で作られた天の川が広がった。