「ほら、じゃあ行くぞ」

「は、はい。お邪魔します」



黒い車に乗りシートベルトを締めると、続いて彼も運転席に乗り込み車を走らせた。



そして車で30分ほど走り、千葉県にある日本を代表するテーマパークに着いたのだった。

車を停め、BGMが流れるゲートをくぐり入場すると、日曜の昼間ということもあり園内はすでに沢山の人でにぎわっていた。



「わ……すごい人ですね。久我さん、迷子にならないようにお互い気をつけましょうね!」

「はぐれそうで心配なのはどう考えてもお前の方だけどな」



そう言いながら、久我さんはそっとこちらへ手を差し伸べる。



「心配だから、つないでてやる」



手をつなごう、と素直に言わないあたりが久我さんらしい。

ふふ、と笑いながら私はその手をとる。彼の長い指がこの手をぎゅっと包み込んだ。



「なにから乗る?」

「もちろんジェットコースター!」

「一発目から飛ばすな……」



それから私と久我さんは、ふたりでいくつものアトラクションを乗って回った。


ジェットコースターで髪をボサボサにしていたり、コーヒーカップの回転に目を瞑り耐えていたり。照れ臭そうにしながらもメリーゴーランドに一緒に乗ってくれたり……。

どのシーンの久我さんも初めて見る表情ばかりで、新鮮だ。