「……じゃあ、付き合うか」
「ですよね、すみませ……へ?」
ところが、彼から発せられたのは予想外のひと言だった。
付き合うかって……え?どういう、こと?
「え?なんで、どういう意味……」
予想外にもほどがある。全く理解できない。
唖然としてたずねる私に、久我さんは至って真剣な目で答える。
「責任取るよ。酔ってたとはいえ、そうなったってことは惹かれるものがあったんだろうし」
責任、だなんて。そういう真摯な態度も、やっぱり久我さんらしい。
でも待って。あれ、その言い方じゃまるで昨日の会話を覚えてないかのようだ。
惹かれるものがあったとか、そういうのじゃない。
久我さんは私を『私』として抱いたわけじゃなく、『あの人』として抱いただけ。
だから、責任を取る必要なんて微塵もないのに。
もしかして、と頭によぎるひとつの可能性を口に出す。
「……もしかして、昨日のことほとんど覚えてません?」
その問いかけに、彼は頷いた。



