「なんだあかね、昨日のみ過ぎたか?」

「う、うん。そう、思ったより飲みすぎちゃったみたいで、アラームかけ忘れちゃって……」

「気をつけろよ。それにしても、ひどい格好だな」



馳くんに言われてよくよく鏡で見てみると、メイクのはげた顔に寝癖のついた頭、服はシワだらけ……。

確かにひどい格好だ。



幸いなことに今日は一日オフィスにいる予定で、取引先との打ち合わせもない。

でもこの姿のままでは恥ずかしいし、あとで合間を見てトイレで少し整えてこよう。



そう思っていると、馳くんはふとなにかに気づいたように「あれ」と声を発する。



「お前、昨日と同じ服……ってことはまさか、誰かにお持ち帰りされたのか!?」

「え!?」



『お持ち帰り』、その鋭いひと言に心臓が嫌な音を立てる。

部屋のど真ん中で大きな声で騒ぐ馳くんに、周りのみんなも驚きこちらへ目を向けた。



「霧崎さん本当!?」

「相手は誰!?昨日あのあとってことは、うちかイベント運営部の中の誰かってこと!?」



話を聞きつけ、先輩たちが一気に駆け寄り問いただす。

まずい、万が一昨日の久我さんとのことが知られたら……付き合ってもない相手と寝る男、なんて久我さんの名に傷がついてしまう。

それはダメだ、と私は首を横に振り強く否定をする。