でもまさか、昨夜のことが夢じゃなかったなんて。

私の記憶が確かなら、私昨日の久我さんと……しちゃったんだよね。



酔っていた勢いとはいえ、我ながら大胆なことを言ってしまったと思う。

だけどベッドでの久我さん、かっこよかったなぁ。

……それにさすがというか、上手かった。



思い出すだけでうずくほど、まだ感触がしっかりと残ってる。

言葉なく重ねた唇の柔らかさや、密着した肌。ひとつひとつ、全てが全身に絡みつく。



反芻するうちに電車はいつの間にか駅に着いており、私はアナウンスを聞いてハッとすると、慌てて降りて会社のある建物へと向かった。



久我さん、もうオフィスにいるよね。どんな顔で会えばいいんだろう。

ていうか、そもそも昨日のことをどう思ってるのかな。



後悔してるかもしれない。いや、あんな大胆なことを言った私に引いているかもしれない。

あぁ、反応を想像すると怖くなってきた……!



怖くても仕事には向かわなくてはいけない。

駆け足でビルに入りエレベーターに乗ると、オフィスのある6階で降りた。



「おはようございます!」



勢いよく、第一営業企画部の部屋のドアを開けると、そこにいたみんなは当然ながら既に仕事を始めている。

そそくさと自席に着く私に向かいの席の馳くんからは呆れた視線が向けられた。