冷徹部長の溺愛の餌食になりました




その夜は、彼の体温と、呼吸もできないほどの激しさと幸福感に溺れるように意識を手放した。

愛しさと嬉しさがこみ上げる中、これでよかったのかな、なんてほんの少しの迷いを胸の中に残して。



翌朝、ふと目を覚ますと嗅ぎ慣れない香りの室内を太陽の光が照らしていた。

まだボーッとする頭で白い天井を見つめると、眠気に負けて再び目を閉じる。



昨日は夢に久我さんが出てきた気がする。

いい夢見たなぁ……。幸せすぎてまだ起きたくないや。

もうちょっとだけ、余韻に浸っていよう……。



ゴロンと横に寝返りを打ち、肩に布団をかけ直す。

ところが、掛布団が素肌に触れる感触に、そこでようやく自分が服を着ていないことに気がついた。



って、なんで!?



驚きから目を覚まし飛び起きると、そこは大きな窓の寝室だ。

シンプルで高級感溢れる内装も、広々としたベッドの大きさも、どう見ても私の家じゃない。



「ここどこ!?あっ、そういえば昨日久我さんの家に来て……あれ!?久我さんは!?」



混乱状態で辺りを見回すけれど、そこには私以外の姿はない。

とりあえず、とベッドの周りに脱いだままになっていた昨日の服を身につけると、寝室を出て隣の部屋を覗いた。