「今の絶対霧崎さんのこと庇ってくれたよね」
「やだ、やっぱり久我さんいい男―!惚れる!」
久我さんのいた席に座ると、周りの女性たちはそうキャーキャーと盛り上がる。
助けて、くれたんだ。
離れた席にいたはずなのに、こちらに気がついて、こうして気遣ってくれた。
あぁもう、ずるい。
そういうところがやっぱり好き……!
女性たちのように明らかに声や顔には出さないけれど、赤くなる頬をおしぼりで抑えながら気持ちをこらえる。
こんなふうに彼の優しさを知ると、また諦められなくなる。
叶わない恋でもいい。
せめて想うだけでもさせてほしいって、願ってしまう。
胸はいっそう、彼に強いときめきを覚えた。



