「霧崎さん、いっぱい食べて大きくなれよー!そんな細い体じゃ男を満足させられないぞ!女子はやっぱりムチムチじゃなきゃな!」
「あ、あはは……そうですねぇ」
このご時世に、びっくりするほど堂々としたセクハラだ。
それを軽く流しながら、目の前の小皿に自分の分のサラダを盛る。
でもやっぱり、男性はムチムチなほうが好きなのかな。確かに、小宮山さんも細いけれど肉感的というか色気があるというか……。
彼女の色気のある体型を思いだしながら自分の体に目をむける。
けれどやせっぽっちで子供っぽい自分の姿に、悲しくなりながらサラダを食べた。
「霧崎さんは今彼氏いないのか?」
「はい。今は仕事が楽しくて」
「ダメダメ!そんなんじゃあっという間に行き遅れるぞ。向こうで久我囲んでる奴らみたいに!」
笑いながら言う男性の大きな声は、久我さんを囲んでいた女性たちにも届いたらしい。
彼女たちは一斉にこちらを睨みつける。
わー!睨んでる!
私まで一緒になって言ってると思われたくないから、やめてー!
心の中で叫ぶけれど実際声には出せなくて、ひきつる顔で必死に笑顔を作った。
けれどその笑顔に気を良くしたのか、男性は嬉しそうに笑みを見せて私の肩を抱く。
さすがにそれには私も全身に鳥肌が立った。



