徒歩二十分で家に着く。六階建ての普通のワンルームマンション。

サナは部屋を一周見て言った。

「ベッド一つしかないじゃん」

「当たり前だ、一人暮らしの家にベッドが二個もあるかっ」

オレは押し入れから布団を出してベッドの横に敷く。

「サナはここで寝ろよ。布団で」。

ベッドはオレのだと主張する。

オレはいつもの癖でスーツを脱ぐ。