背を向けた少女の前に立ち、もう一度話しかけようと思ったが気持ち悪い。昨日は飲み過ぎた。いつも飲み過ぎるのだけれど。

「ねえ、ゲロのお兄さんは、ここのホスト?」
「誰がゲロやっ」

「だって名前知らないし」

「アイル」

少女はクスクス笑う。

「ダサイ名前、キラキラネームもびっくりするよ」

「そう言うお前はどうなんだよ?」

「わたしはサナよ」

確かに普通の名前だと思った。