「どうして笑ってるんですか?」

「んー?どうしてだろうね。
君の言葉に喜んでるのかもしれないな」

「私の…?」


喜ばせるようなことを言った覚えはないけれど。
依然として上機嫌な彼は、私の頭に手を置いた。


「ねぇ、今度はいつ会おうか」
「……え」

突然変わる話についていかない頭。
けれど光原先輩は話を進めてしまう。


「ここで君との関わりを終わらせたくないよ」

まるでその瞳に捕らえられてしまいそうだった私は、咄嗟に顔を背けてしまう。


なんだかこのまま素直に手を伸ばし、彼を受け入れてしまえばダメな気がして。

そう、依存してしまいそうな気がして───


自分を保つため。

そう言い聞かせ、“ごめんなさい”とだけ口にした後気づけばその場を去っていた。