指先が震える手を動かし、恐る恐る光原先輩の背中に手をまわす。
私なんかよりもずっと大きい男の人の体。
すっぽりと私の体が彼の腕に収まってしまう。
どうしよう、ぎゅーっと抱きつきたい衝動に駆られている。
「ずっと寂しかったんだね」
「……秘密にしてくれますか」
今の状況を誰かに見られてしまえば、私の学校生活は終わったも同然である。
「当たり前だよ、俺も自分からこんなことするの初めて」
「じゃあ、先輩…寂しいです」
「うん」
「本当は幼稚なんです、考え方。お父さんが単身赴任でお母さんも毎日仕事に追われてる、家だといつもひとり」
光原先輩は私と何ひとつ関わりのない人。
つまり本音を漏らしたところで何もないのである。
ただ誰かに吐き出したかったのかもしれない、今の気持ちを全部。



