今夜、キミを独り占め。






その日は授業にまったく集中できなかった。
せっかくのチャンスを私は逃したのだ。

きっと朝の態度を見て、絶対に“なんだこの女”と思ったことだろう。


どうしよう、今からでも間に合うだろうか。

けれどお昼休みにクラスに行くのは気が引ける。
かといって放課後待ち伏せするのも何が嫌だ。


「……はぁ」

今日何度目かのため息を吐く。
相変わらず意志の弱い人間だ。


もし見た目通りしっかり者だったら、あの場で『昨日は迷惑をかけてしまいすみませんでした…』とある意味堂々と謝れたことだろう。

けれど本当の私は心の弱い人間である。