もしかして、夢でお父さんに『ひとりにしないで』と言ったつもりが実際に口に出ていたということ?
恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになる。
「じゃ、私が先輩をサボらせてしまって…」
「いや、一応あいつの意思だからそれは気にしなくていい。ほら、まずはそれで熱測って」
「は、はい…」
金城先生はベッド近くの壁に立ててあったパイプ椅子を開け、そこに座った。
「で、気分は?」
「だいぶ楽になりました」
寝ていたからだろう、昼休みより体がスッキリしていた。
「そうか。でもその様子じゃ朝からしんどかっただろ?」
「……はい」
「その時は無理したらダメだからな」
誰かが言っていた気がする。
金城先生はまだ二十代後半で歳も近く、性格もサバサバしているため親しみやすい人だって。



