勢いよく家のドアを開け、中へと入る。


「あら華蓮、おかえり。
打ち上げ楽しかった?」

「……っ」


今の顔をお母さんにも見られて欲しくなくて、少し俯きながら質問に答える。



「た、楽しかったよ…!でも球技大会とかで疲れたから早くお風呂入って寝るね!」

「そう…?
でも華蓮、様子ぐ変…」

「き、着替え持ってこないと!」


お母さんの言葉を遮った私は、逃げるように部屋へと向かう。

バタンと勢いよく部屋の扉を閉めたところで、電気もつけずにその場に力なく座り込んだ。


「…っ」


唇に手を添えて、思い出すのは先ほどの光景。

甘く強引なキスに抗えなかった私は、ただ好きなように貪られていた。


息が苦しくなってもそう簡単には離してくれなくて、繰り返されるキスに呑まれて。

足が震え、腰が抜けそうになる感覚のキスを初めて体験した。


甘くて、ただ気持ちよくて。

思い出すだけで顔が熱くなり、胸がドキドキと高鳴っていた。