「……っ」
今の彼は、この明かりの少ない夜がぴったりだった。
危険で、野性的で。
けれど誰よりも美しい人だと思った。
その瞳に吸い込まれそうになり、息を呑む。
こんな光原先輩初めて見た。
全身に力が入らず、ただ彼に身を任せることしかできなくなった私。
「強引な男は嫌いじゃないみたいだね」
暗い夜道で重ね合わせた唇は、甘くて溺れてしまいそうで。
やっぱり光原先輩のキスは嫌いだと思った。
時折思考回路すべてを奪われそうになる。
「君が俺をこうさせたんだよ。
責任は負ってもらわないと困るから」
理不尽な言葉にも言い返せないほど光原先輩の勢いに呑まれて、それから繰り返されるキスに私は何ひとつ抗えないでいた。