「何をさせる気ですか」
「そうだなぁ、例えば…君からのキスとか?」
悪そうな笑み。
この人はきっと、自分の気が済むまで攻めるタイプだろう。
「そんなのできません、キスとか」
「何事も挑戦だよ」
それなら別に挑戦などしたくない。
わざわざ自分からキスするほどの感情を光原先輩に抱いたこともないのだ。
「せっかく笹野さんのわがままに付き合ってあげたのに、何もなし?」
「…っ」
「仕方がないから家まで送ってあげる。
今日は家に親、いるの?」
「多分いると思います」
光原先輩が来るまでの間、お母さんと連絡をとっていた。
今日は定時退社できたらしく、もう家に着いているらしい。



