素直に目を閉じると、光原先輩が小さく笑った気がした。
それはほんの数秒の出来事だった。
唇に柔らかな感触がして。
なんとなくキスだとわかったけれど、特に感情が抱くことはなく。
重ねられた唇は確かに優しいものだった。
それでも私はドキドキすらしなかったのだから、それはそれで悲しい。
「うん、予想通りの反応だね」
「……すみません」
少なからず光原先輩は恥ずかしがってほしかったのだろうけれど、期待に応えることはできなかった。
「でも抵抗がないことはわかったから、これからキスし放題ってことで」
「えっ…」
「君みたいな子、初めてだけど俺は好きだよ」
きっと光原先輩にとったら何気ない言葉だろうけれど。
私はとても嬉しい気持ちになった。



