「ちゃんと乾かさないと傷みますよ」
なんて言ってみるけれど、彼の髪もサラサラである。
「怒られちゃったね、気をつけます」
ドライヤーを片手に、一度洗面所にそれを直しに行った光原先輩はまた戻ってくるなり、私の隣へと座った。
甘えることを完全に覚えてしまった私は、つい光原先輩にもたれる形でピタッとくっついてしまう。
「いいよ、好きなだけそうして」
「……ありがとうございます」
「君との時間は穏やかだな」
確かに私も、光原先輩と過ごすこの時間は比較的ゆったりとしている気がする。
女遊びが激しいと噂されている光原先輩だったけれど、特に手を出される気配もない。