「あっ、嬉しそう」
なんて、光原先輩にも伝わってしまったようで。
クスクス笑われてしまったけれど気にしない。
「お待たせ。
もう今日はひとりにしないよ」
“はい”と言葉にする勇気はなかったため、何度か頷く私。
一度甘えてしまえば、もう怖いものなしだ。
「光原先輩」
「どうしたの?」
「私が髪、乾かします」
さっきのお返し、という意味込めて。
「本当に?ありがとう」
光原先輩は素直に受け取ってくれ、髪を乾かすことになった。
私なんかよりもずっと短い光原先輩の髪はすぐに乾き、5分もかからなかった気がする。
「乾かさないで寝る日もあるから、こんな丁寧に乾いたの久しぶりだな」
乾き終わった髪を触りながら光原先輩は嬉しそうにそう呟いていた。



