「あの先輩、真由の好きなタイプにぴったりじゃない?落ち着いていて、優しい人」
とにかく優しく落ち着いた雰囲気を纏っている先輩は、真由のタイプにドンピシャである。
「えっ、あの人はやだ…」
けれど真由の口からは拒否の言葉が出てきた。
まさか嫌だと言うとは思っておらず、素直に驚いた私。
「どうして?」
「だって…」
ちらっと先輩に視線を向けたかと思うと、歩き出してしまう真由。
そんな彼女を追いかけるようにして私も歩き出せば、ようやく理由を話してくれた。
「あの先輩、怖いの。
華蓮ちゃんは怖いと思わない…?」
「怖い?」
かっこいいと騒いでいる子は多いけれど、まさか真由が“怖い”と思っていただなんて。



