「なんか、緊張してたみたいです…」
諦めて本当のことを言えば、隣に座った光原先輩にまた笑われてしまった。
「緊張なんてしなくていいのに」
「一応、初めてなんで。
男の人と部屋でふたりとか」
過去に数回、告白された経験はある。
けれど恋愛などしたことがない私はすべて断っていたため。
恋愛経験はゼロである。
ひとりが寂しいという理由で告白を受け入れるのも悪いし、そんなことはできなかった。
「付き合ったことは?」
「ないです」
「そうなんだね。ひとりが寂しいなら、恋人作ろうとは思わないの?」
「それは人としてどうかと思いますよ」
「冗談だよ。だから君を誘ったのに」
「えっ…」
思わず顔を上げたけれど、光原先輩の表情から感情など読めるはずがなく。
話の続きを待つ。



